研究休暇2009~2010 ミュンヘンにて。
私の研究は、漂泊の社会史的、文学的議論を取り入れて、ドイツの歌曲における漂泊という現象と取り組み、まとめることになります。その際に、しばしば「さすらいの歌」として表現される楽曲については、シューベルトやメンデルスゾーン・バルトルディやシューマンのようなロマン派の有名な作曲家の作品のみならず、これらの巨匠たちの、今日において多かれ少なかれ忘れられている同時代人たちの作品も考慮されます。あまり知られていない作曲家たちの作品は、今日では楽譜は市場でほとんど手に入らないので、19世紀の印刷や、部分的に手書きによってのみ伝えられている作品を収集するのには公文書館や図書館における大規模な調査が必要不可欠でした。このような図書館作業が伴うので、私は研究地としてミュンヘンを選びました。当地のバイエルン州立図書館は、プロイセン文化財団ベルリン国立図書館と並んで膨大な音楽文献を所蔵しているからです。事実、私はそこで必要不可欠な文献の大部分を探し出すことができました。しかし、不足分を補うためには、ドイツ国内やパリ、ウィーンへのさらなる図書館巡りが必要でした。私の研究のさらなる発展の為にも、文献は研究基盤なのです。したがって、私は手始めに、社会史的観点から漂泊を論ずる中で、1800年頃の旅行報告を引き合いに出します。それに加えて芸術歌曲との比較として民衆的なさすらいの歌を調査に取り入れることになります。この両分野に関してもバイエルン州立図書館はメッセージ豊かな文献を所蔵していますが、これに関しても他の図書館や公文書館の蔵書で補う必要がありました。
私が客員研究員として招かれていたミュンヘン大学の音楽学研究所が、さらなる研究の場を提供してくれました。そこでもハルムート・シック教授と彼の共同研究者と学生とともに、研究に役立つ活発な学術的な交流ができました。
キルステン・バイスヴェンガー
(訳:T.T)