2010年5月7日金曜日

"EU Film Days 2010"〜ドイツ映画を観てみよう〜


2010年5月28日–6月20日に東京国立近代美術館フィルムセンターにて"EU Film Days 2010" が開催されます。


EU加盟国27カ国中22カ国の映画作品が期間中に上映され、普段はなかなか触れる機会のない様々なヨーロッパ文化やヨーロッパの生活を、作品を通して垣間みることができます。

ドイツ映画は、第58回ベルリン国際映画祭に出品された「HANAMI」が上映されます。
上映日程は下記の通りです。

『HANAMI』(独題:"Kirschblüten")
2008年製作ドイツ映画、126分、ドイツ語(日本語・英語字幕付)監督:ドリス・デリエ
内容:
ドイツを代表する女性監督デリエが、小津安二郎監督の『東京物語』から着想を得て撮った作品。妻を亡くした初老のドイツ人男性が桜の季節の日本を訪れ、ひとりの少女と出会って魂を救済される。

場所:東京国立近代美術館フィルムセンター
6月2日(水)  15:00
6月13日(日) 13:00

入場料: 500円(一般)/ 300円(高校・大学生・シニア)/ 100円(小・中学生)
キャンパスメンバーズは無料★
(獨協大生は学生証を提示してキャンパスメンバーズであることを伝えましょう。無料で鑑賞できます。)

ドイツ本国で高く評価された、静かな感動を得られる作品です。
ドイツと日本の文化や感性の交差点を鑑賞してみましょう。

映画祭のHPでは各参加国の作品の詳細と上映日程を確認することができます。

映画のHP(ドイツ語):「HANAMI」(独題:"Kirschblüten")
映画祭HP(日本語) :"EU Film Days 2010"

2010年5月2日日曜日

タマラ・ド・レンピッカ展

 美術のゼミ(担当:青山)では、ゼミ生が現在東京ならびに近県で開催中の展覧会に足を運び、その内容紹介を授業の冒頭ですることにしています。既に2010年度のゼミが始まって四回ほどたちましたが、一人の学生さんが2010年5月9日(日)まで渋谷のBunkamuraで開催中のポーランド出身の女流画家タマラ・ド・レンピッカ展を紹介してくれました。世界中の個人コレクションや美術館に散らばっているレンピッカの作品が一同に介した興味深い展覧会なので、改めてここで簡単にご紹介したいと思います。
 ポーランドの富裕な家庭に生まれたタマラ・ド・レンピッカ(1898-1980年)(写真左)は、ロシア革命を機にパリに亡命し、そこで1920年代から30年代にかけて華やかな社交界を舞台に活躍したアール・デコの画家です。今回の展覧会ではその卓抜した肖像画家としての技量、写真が新しいメディアとなった時代に自らモデルもつとめた写真の数々、今でいうところの女性のファッション誌のカバーを描いた作品、鬱病を煩ってから描いた宗教的な主題の作品から、晩年ヨーロッパから移った新大陸で描いた静物画まで、幅広い時代の代表作を網羅的に見ることができます。

 ここで最も会場で印象に残った作品を一点だけご紹介しましょう。それは下に見られる、1927年に制作された『赤いチュニカ』(ニューヨーク、キャロライン・ヒルシュ所蔵)という大きな油彩画(73×116cm)です。


レンピッカは当時の流行最先端のファッションを身につけたモダンな女性人物像を数多く描きましたが、その構図や技法の基盤の一つはイタリアの古典絵画にあります。彼女の恋人でもあったと言われるラファエラを描いたこの作品も、構図はヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノの1538年の『ウルビーノのヴィーナス像』(ウフィツィ美術館所蔵)以来、ゴヤ、マネ、モディリアーニ等によっても何度も繰り返された、横たわり、観者の方を挑発的に見る女性人物像のポーズの影響が見られます。しかし、ここにはそれまでの男性たちが描いた女性像たちとは異なり、何と堂々とした体躯の生身の女性が描かれていることでしょうか!レンピッカが1920年代に制作した肖像画の特徴として、画面の枠一杯に人物を入れて量塊性とムーヴマンを強調する表現が見られます。この作品でも灰色を基調とした背景から、たった一色、赤をまとった女性の白い肉体が画面から溢れ出してくるような迫力があり、肌の質感、布の質感が過去の巨匠たちと同様見事に描き分けられています。それにしても画家が、自分自身の性である女の肉体を堂々と礼賛している様は圧巻です。
 社交界の花としてのレンピッカが、マルレーネ・ディートリヒ(1901-1992年)のように気取った姿でポーズを取る多くの写真や映像が残されていますが、そうした彼女自身の虚飾に満ちた姿だけではなく、彼女が描いた油彩画のこの女性像の中にも、1920年代を既に真に自由に生きた、才能あふれる女性の力強い自画像が隠されているような気がします。この迫力には同性としてあっぱれ!と拍手を送りたくなりました。

A. A

2010年4月29日木曜日

~ヴルストマルクト開催中~

2010年4月28日(水)~5月9日(日)
のゴールデン・ウィーク期間中、
六本木にある東京ミッドタウンの芝生広場で
世界最大級のワイン祭“ヴルストマルクト”が開催されています。

どんなお祭りなのか百聞は一見に如かず、ワインにつられて行ってまいりました。


東京ミッドタウン内から見えるお祭りの様子…
祝日とあって多くの来場者で賑わっていました。
目指すワインは茶色い看板の下です。


芝生広場の奥右手がワイン売り場、左手の売り場では
ドイツソーセージやドイツパンやザウアークラウトやジャガイモ…
ドイツの軽食がズラリ。


注文しましたのは、ワインショーレ・シルヴァーナ 白。
シルヴァーナ種のブドウで作られた白ワインを炭酸で割った飲み物です。
爽やかでとても飲みやすい。
天気の良い青空の下で飲むとまた一段と美味しいのです…。
お手頃なワインショーレから高級デザートワインであるリースリング アウスレーゼまで、23種類ものドイツワインが取り揃えられています。
会場で配布されているメニューリストと睨めっこして、じっくり選んでみましょう。

お酒が苦手な方、飲んではいけない方はドイツ的軽食をどうぞ。
写真はドイツソーセージセットと茹でジャガイモ。
特にあっさりしていて柔らかな白ソーセージはドイツならではのお味。
素朴な味のジャーマンポテトもホクホクと美味しく頂きました。
この他にもカリーヴルストやスパゲティーアイス、ザウアークラウト等、普段はなかなか味わえないドイツの軽食を楽しめます。

デーブル席やテントもありましたが、芝生の上で気持ち良さそうに寛ぎながらワインや軽食を楽しむ来場者や家族連れが目立ちました。
予約済みのテーブル席に“Stammtisch”(常客の集まる会合)の張り紙が貼ってあったのもまたドイツ的。
夜はアコーディオニストによる演奏もあるそうです。


●開催期間&時間●
2010年4月28日(水)~5月9日(日)
(平日)16:00~22:00 ※L.O. 21:30
(土・日・祝)12:00~22:00 ※L.O. 21:30

参考までに、本場ドイツのWurstmarktの公式サイトはこちら↓
http://www.duerkheimer-wurstmarkt.de/

2010年4月18日日曜日

独検2010春~願書受付始まってます~

 ドイツ語技能検定試験2010春の願書受付が4月1日から始まっています。自分のドイツ語力を客観的に測定してみたい方、ぜひチャレンジしてみてください! 獨協大学も試験会場となります!!

願書受付:2010年4月1日~5月21日(金曜日)、消印有効
      (書店・生協での払込みは5月20日(木曜日)までです)
試験日:2010年6月27日(日曜日)
受験級:2級、3級、4級、5級

 なお、受験要項は中央棟5階、エレベーターを降りて正面の、ドイツ語学科掲示板前にたくさん積んであります。

2010年4月7日水曜日

入学式にてフォルカー=シュタンツェル・ドイツ大使よりご挨拶をいただく


フォルカー=シュタンツェル・ドイツ連邦共和国大使

4月1日,満開の桜のもと,獨協大学入学式が挙行されました。今年は着任されて約半年のフォルカー=シュタンツェル・ドイツ連邦共和国大使が来学され,ご挨拶をいただきました。80年代に京都に留学なされたことのある大使は,流暢な日本語で,ドイツと日本の関係は市民レベルで学問を中心に発展してきており,こうした関係を今後も大切にしていきたいこと,また,新入生の皆さんが外国語を通して国際関係の発展に力を尽くす人材に育ってほしいことをお話になりました。さらに,来年が日独友好150周年にあたり,さまざまな催しを通して,日独関係をさらに深める機会となることも述べられました。
 
これまで,ドイツ大使館からは公使などをお迎えして,入学式でご挨拶をいただきましたが,今回のように大使がおいでになり,日本語でご挨拶なさったのは,はじめてのことです。今後も,獨協大学とドイツ大使館の連携がさらに緊密になることを願う次第です。
T.Y.
式の後、桜の木の下で。

中央はシュタンツェル大使と寺野理事長。

2010年4月6日火曜日

タッパーの夕べ?!

 W先生の興味深い(!)韓国旅行に加えて、新入生のみなさんにドイツを身近に感じて頂くために、ドイツの台所用品を紹介しようと思いつきました。
 私は2002年の夏から2005年の3月まで獨協大学の提携大学がある、マールブルクという町に滞在しました。最も古いプロテスタントの大学を持つこの町はドイツの初期ゴシック建築を代表するエリザベート教会(1235年着工)や、グリム童話を編纂したグリム兄弟がサヴィーニー教授の元で法学を学んだ町としても有名であり、岩倉使節団(1871-73年)もかつてここを訪れた記録があります。
 当時マールブルクの地元の幼稚園と小学校に通っていた娘たちのお陰で、ドイツ人の同世代のいいママ友達が沢山できました。その交流を通じて様々な経験をしましたが、その一つが「タッパーの夕べ」というものです。ドイツは幼稚園や学校の懇談会(Elternabend)は夜開かれます。子供を寝かしつけた8時頃に両親が学校に集まり、子供の近況や様々な問題について話し合われるのですが、このようにドイツは子供を寝かしつけてから様々な「お集り」があります。
 「タッパーの夕べ Tupperabend」もそうした集会の一つなのですが、このタッパーはいわゆる日本でもポピュラーな密閉容器のことです!つまり、個人の家の台所を舞台に、奥さんたちが集まって、台所用品について情報交換をしたり、実際の販売会をするのです。「タッパーの夕べ」にはちょっと「ご夫人たちの井戸端会議」という皮肉めいたニュアンスもあるらしいのですが、実際に参加してみると、これがなかなか有意義なものでした。今回は写真だけでご紹介しますが、この日本では見慣れない機械があっと驚く機能を持っているのです!この機械がどんなことができるかは、次回またご紹介します。

A. A

2010年3月27日土曜日

拝復・・・

タニッキーをありがとうございました。
ブログを見た他の先生にも、芯が強そうなところがぴったりだと言っていただきました。 心から感謝します。

さて、卒業後も映画情報など気づいたことを投稿したり、現在原稿待ちしている記事のアップをさせていただくとして、今回は、論文執筆後に「ちょっと文化的な生活をしよう!」と思い、読んだ本の中から気に入ったものを一つご紹介させていただきます。

『ヒトラーの防具(Fu"hrers Ru"stung)』 (上・下巻) 
帚木蓬生 (新潮文庫 1999年)

東西の壁が崩壊したベルリンで、「贈ヒトラー閣下」と書かれた日本の剣道の防具が発見されました。そこから物語の舞台は一気に第二次世界大戦直前のドイツへと移ります。 ヒトラーの49歳の誕生日に剣道の防具一式を贈呈しようとやってきた日本団とその通訳者で日独混血の青年、香田光彦。彼が見た当時のドイツが描かれていきます。

ヒトラーに陶酔する上司と、そこからの情報を元に、変わっていくドイツの本当の姿を捉えきれないまま軍事同盟へと突き進んでいく日本。その中で光彦青年は、同じくドイツで医者として精神病院に勤める兄・雅彦から<集中治療病院>送りになる患者たちの実態を聞かされることによって、またユダヤ人女性・ヒルデとの自身の恋愛を通して、さらには実際にヒトラーの言動を目の当たりにすることによって、自分の軍人としての、または日独両方の血を持つものとしての、もっと根本的には人間としてのあり方を見つめることになります。

個人的に心に残ったのは、兄・雅彦の次の台詞です。
「戦争をする人間の底にあるのは偏見と差別です。自分たちの民族と集団が他のそれよりも優れていると思うところに、戦争の芽が生じます。そして戦争になれば、その芽がぐんぐん伸び、青空を覆いつくすまでにはびこってしまうのです」

「戦争」の文字を別のものに置き換えてみたら・・・。これは、私たちの日常のどの場面にも通じることだろうと思いました。そういった意味でもとても読み応えのある一冊でした。

2010年3月12日金曜日

「サバタイ・ツヴィ伝」

本学の石丸昭二特任教授が訳を担当されています。
「サバタイ・ツヴィ伝―神秘のメシア」
(上巻)(下巻)


■著者:ゲルショム・ショーレム
■訳者:石丸昭二
■出版社:法政大学出版局
(叢書ウニベルシタス)
■発売年月日:2009年6月
■価格:15,750円
■判型:20.8 ×14.4× 7.4cm
■ページ数(本文のみ):
上巻:1-490頁 
下巻:491-1017頁
                        ■ISBN:978-4-588-00917-4

内容:
謎のメシア、伝説の生涯。ユダヤの宗教と神秘主義の歴史において最も重要な17世紀のメシアニズム運動の発生と展開、およびその運動における謎のメシア=サバタイ・ツヴィの行跡を精査した、ユダヤ学の泰斗ショーレムの畢生の大作。民族の自立とパレスチナ回帰を希求するメシア運動の指導者サバタイ・ツヴィはなぜユダヤへの忠誠を棄てたのか。無類の作用を及ぼしたひとりの人間の異端的生涯を再構築する。
(帯解説より)

書評掲載紙:
読売新聞夕刊:2009年8月3日付。
週刊読書人 :2009年8月14日号、小岸昭氏評。
熊本日々新聞朝刊:2009年8月23日付、阿部重夫氏評。


興味のある方は全国書店にて、またはamazonなどオンラインショップでも購入できます。

2010年3月2日火曜日

世界の教科書シリーズ『スイスの歴史』

本学の大串紀代子教授と小島康男教授が訳を担当されています。

『スイスの歴史 スイス高校現代史教科書<中立国とナチズム>』


■著者:バルバラ・ボンハーゲ/ペーター・ガウチ/ヤン・ホーデル/グレゴール・シュプーラー
■訳者:スイス文学研究会
■発売出版社:2010年2月25日
■出版社:明石書店
■価格:3,990円
■判型:A4
■ページ数:168頁
■ISBN:978-4750331409



本書はスイスの「チューリッヒ州教材出版」から2006年に刊行された高校生向け歴史授業のための副読本の全訳です。原題名は『見つめて問い直そう(Hinschauen und Nachfragen: Die Schweiz und die Zeit des Nationalsozialismus im Licht aktualler Fragen)』であり、第二次世界大戦時に「中立国スイス」がナチズムとどうかかわってきたのか、という重大なテーマに「今」の視点で真正面から向きあおうとしている姿勢が読み取れます。(訳者解説より)


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2010年3月1日月曜日

『アイガー北壁』

冬季オリンピックは終わりましたが・・・。オリンピックつながりでドイツ映画をひとつ。

『アイガー北壁 (Nordwand)』
3月20日より、全国順次ロードショー

-ベルリン・オリンピック開幕直前の1939年夏。ナチス政府は国家の優位性を世界に誇示するため、アルプスの名峰アイガー北壁のドイツ人初登頂を強く望み、成功者にはオリンピック金メダルの授与を約束していた。山岳猟兵のトニーとアンディは、難攻不落の山を次々と踏破し、優秀な登山家として知られ始めていた。2人は世間の盛り上がりに戸惑いながらも、《殺人の壁》と恐れられていたアイガー北壁への挑戦を決意する。
麓には、初登頂を目指す各国からの登山家や、世紀の瞬間を見届けようという報道関係者や見物客が集まってきていた。その中にはトニーのかつての恋人で、新聞記者をしているルイーゼの姿もあった。天候を待つこと数日。ある晩、トニーとアンディは北壁への登攀を開始する。彼らのすぐ後をオーストリア隊が追い、4人は快調に高度を上げていくが、メンバーの負傷や急な悪天候に見舞われ、彼らは想像を絶する状況へと追い込まれていく・・・。(オフィシャルサイトより)


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